節税策に困ったら?企業版ふるさと納税がおすすめです

黒字企業の経営者にとって、法人税等の税額は常に興味のある話題なのではないでしょうか。利益が想定外に大きい場合、何か経費を立てられないか慌てて検討される方もよくいらっしゃいます。

このような方には、企業版ふるさと納税がお勧めです。
企業版ふるさと納税は令和2年度税制改正で税制優遇措置が一気に引き上げられており、企業にとって使いやすいものとなりました。

この記事では、企業版ふるさと納税制度の概要、及び利用方法について説明します。

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桐敷匠

桐敷匠

公認会計士試験に一発合格。企業の税務・会計全般だけでなく、スタートアップ支援、上場支援に至るまで、企業の財務に関するあらゆるノウハウに精通し、顧客からの信頼を集めている。前職はIT技術者であり、応用情報技術者資格も保有。その経験を活かし、端的に本質をつかんだ分かりやすい解説に定評がある。

1. 企業版ふるさと納税制度とは?|制度の概要

企業版ふるさと納税制度とは、一定の要件を満たす地方自治体の地方創生事業に対して、企業が寄附を行った場合に、寄附額の最大9割分の法人税等が減額される制度です。

従来の減額幅は最大6割でしたが、個人版ふるさと納税ほどには活用が進まなかったため、令和2年度税制改正で減額幅が最大9割まで一気に引き上げられました。

企業版ふるさと納税制度のメリットは、主に広告宣伝効果にあります。
すなわち、寄附を行った企業は内閣府や自治体から公表され、企業は自社のPRに生かすことができます。さらに、寄附だけに留まらず、ノウハウ提供など地方創生事業そのものに関与し、功績が認められると地方創生担当大臣による大臣表彰の対象となる事もあります。

企業にとっては、学校の建設、街づくり等に協力したという実績のアピールになります。交際費等の名目で飲み食いに使うよりも、よほど健全な使い道と言えるでしょう。

また、税金の観点で見ても、通常の支出、例えば交際費等は支出額の約3割だけ税額が減額されますが、企業版ふるさと納税では寄附額の最大約9割分が減額されるため税額が下がるため、税制上非常に優遇されている事が分かります。

ただし、個人版ふるさと納税制度とは異なり、企業が返礼品など経済的見返りを受ける事は禁止されている点にはご注意下さい。
個人版ふるさと納税制度は、返礼品によっては寄附した個人が得をする事もありますが、企業版ふるさと納税制度は寄附額の1割とはいえ企業側の持ち出しになります。
この1割分は実質的に広告宣伝のコストととらえて下さい。

また、本社所在地の自治体に対する寄附は対象外となる点もご注意下さい。

2. 企業版ふるさと納税の手続き方法

必要な手続きは大まかには以下の通りです。順を追ってご説明します。

・節税効果、寄附額上限等、条件を確認する
・寄附先自治体、寄附額を決定する
・寄附申出書を自治体に提出する
・寄附金を納付し、受領証を受け取る
・受領証の写しを添えて申告を行う

2.1. 節税効果、寄附額上限等、条件を確認する

企業版ふるさと納税は最大で寄附額の9割の節税効果があるとお伝えしましたが、実際には各企業の所得状況等に左右されます。
また、寄附額にも下限と上限が設定されています。
下限額は10万円、上限額は企業によって異なりますが、おおむね所得額の数%程度です。

このため、実際に寄附をする前に、自社の場合の条件を確認する事をお勧めします。
自分で計算するのは少し難しいため、顧問税理士等に依頼するとよいでしょう。

2.2. 寄付先自治体、寄附額を決定する

企業版ふるさと納税の対象となる事業は内閣府のポータルサイトでまとめられています。

各自治体が公表している計画は目的や施策がふわっとしたものも少なくないです。
宣伝目的で寄附をするのであれば、目的が具体的なものなどを選ぶとよいでしょう。
もちろん、会社にゆかりのある自治体等に寄附するのもよいでしょう。

2.3. 寄附申出書を自治体に提出する

各自治体のウェブサイトに寄附申出書のフォーマットが用意されていますので、記入の上で自治体へ提出します。
筆者が幾つか確認した所、提出方法は基本的には郵送とされています。自治体によっては電子提出ができる所もあるかもしれません。

2.4. 寄附金を納付し、受領証を受け取る

寄附申出書を提出すると、自治体から納付書が送られてきますので、納付書を元に銀行等で納付を行います。
納付が済むと自治体から寄附金の受領証が送られてきます。
受領証は申告の際に必要となりますので、必ず保管をしましょう。

2.5. 受領証の写しを添えて申告を行う

申告時に受領証の写しを添えることで企業版ふるさと納税による法人税等の減額を受けることができます。
実際には顧問税理士に申告作業を委託している企業が大半ですので、企業側で必要な対応としては、顧問税理士に受領証の写しを提出する事となります。

まとめ

本記事では企業版ふるさと納税制度の概要、及び必要な手続きについてご説明しました。

本制度は寄附額に上限があるものの、税制上の優遇措置を受けることができますし、積極的なCSR活動への取り組みをアピールする事で宣伝効果も期待できます。
あなたが利益の使い道に悩む経営者でしたら、活用を検討されてはいかがでしょうか。



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