青色申告のメリットと手続のポイント

個人事業主の方は、原則として確定申告をする必要があります。

所得税の確定申告には、青色申告と白色申告があり、青色申告の方が有利だということは、多くの方がご存知だと思います。
ただし、どのくらい青色申告の方がお得なのか、どういう方に青色申告が認められ、どのような手続きが必要か、ということまでは分からない方が多いのではないでしょうか。
申告が簡単そうという理由で白色申告を選択している方は税金で損をしています。

この記事では青色申告と白色申告で税金がどれくらい変わるのか説明します。
また合わせて、青色申告できる条件や、青色申告するために必要な作業を説明します。

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桐敷匠

桐敷匠

公認会計士試験に一発合格。企業の税務・会計全般だけでなく、スタートアップ支援、上場支援に至るまで、企業の財務に関するあらゆるノウハウに精通し、顧客からの信頼を集めている。前職はIT技術者であり、応用情報技術者資格も保有。その経験を活かし、端的に本質をつかんだ分かりやすい解説に定評がある。

1. 青色申告とは

青色申告とは、ざっくり言うと、詳しい申告書を国に提出する代わりに、税金(所得税、住民税)が減る仕組みです。

白色申告と比べて税金がどの程度減るかというと、所得状況等にもよりますが、一例として以下のようになります。

・事業所得のみで所得額500万円、電子申告する場合
65万円×(20%+10%)=195,000円の節税

所得の大きい方ほど、節税額も大きくなります。

2. 青色申告できる条件

青色申告のできる条件は幾つかありますが、現実的には「不動産の賃料収入がある」(=不動産所得)、もしくは「継続的に事業の収入がある」(=事業所得)のいずれかを満たす必要があります。

このうち「継続的な事業の収入」については、範囲が分かりにくいため、以下で補足します。

2.1.「継続的な事業の収入」とは

ざっくり言うと、客観的に見て事業と評価でき、本人が継続的にそこから収益を得ようとしていれば「継続的な事業の収入」です。一方、会社員の方が一回の副業で得た収入などは「継続的な事業の収入」とはなりません。この場合は「雑所得」という所得の扱いになります。

実務的には「事業所得」と「雑所得」の境界はあいまいなところがあります。
例:民宿は事業所得/民泊は雑所得、等
事業所得か否かで何度も裁判になっていますので、判断に迷う場合には税理士に相談すると良いでしょう。

3. 青色申告による節税効果

実は不動産所得と事業所得とでは、青色申告による節税効果が異なります。

■不動産所得
不動産所得では、いわゆる5棟10室基準と呼ばれるものがあり、この基準を満たしているかどうかで節税額が変わります。5棟10室基準を満たした場合の節税額は65万円×税率、満たしていない場合は10万円×税率になります。

よく、サラリーマン大家が5棟10室を目指しましょうと言われるのはこの理由によります。

5棟10室基準とは:
アパートであれば「10室以上」、一軒家であれば「5棟以上」

■事業所得
事業所得の場合は「5棟10室」のような基準は無く、節税額は一律で「65万円×税率」になります。

4. 青色申告に必要な手続き

初めての青色申告を行う場合、手続きは大きく分けて、以下の2つあります。
(1)青色申告を行う資格を得る手続
(2)青色申告自体の手続

具体例があった方が、時系列が分かりやすいため、ここでは2020年分の確定申告から青色申告で行う場合を例にご説明します。

4.1. 青色申告を行う資格を得る手続

青色申告承認申請書を税務署に提出して行います。
これは前年の3月15日までに申請を済ませなければなりません。2020年の分から青色申告を行いたい場合は、2020年3月15日までに済ませておかなければならなかったということです。

この手続きは確定申告書を作成するタイミングでは間に合わない点にご注意下さい。

青色申告の制度を知って、白色から切り替えようと思っても、その年の申請期限が3月に終わっていたため青色申告できないというのはよくあるケースです。

4.2. 青色申告自体の手続

確定申告書に青色申告決算書を添付して確定申告を行います。
通常は、翌年の3月15日までですが、2020年分については、2021年4月15日までに行えば良いことになっています。これは、コロナ禍の影響に配慮しての措置です。

決算書を自力で作成しようとすれば簿記の知識が必要ですが、今は「やよいの青色申告」など有料の会計ソフトを利用できますし、税理士に依頼すればやってもらえます。

5. 青色申告のその他の特典

青色申告の一番大きな特典は冒頭でお話しした節税効果ですが、その他にも様々な特典があります。

代表的なものとしては、
・赤字が出た場合、3年間繰越ができる
・30万円未満の備品は一括で経費にできる(白色の場合は10万円未満)
等が挙げられます。

この他にも様々な特典がありますので、気になる方は国税庁のウェブサイトをご覧になるか、税理士に聞いてみましょう。

まとめ

青色申告は、事業所得や不動産所得に特有の制度で、自分で詳しく納税申告を行う代わりに、節税などの特典を受けられるものです。

青色申告を行うには、まず初めに、申請して承認を得る必要があります。
青色申告は自力でやろうとすると複雑で面倒なものの、会計ソフトや税理士を活用すれば比較的簡単に行うことができます。

特に、事業所得のある方は青色申告にすることで65万円×税率分の節税が見込めますので、税理士に依頼しても税理士報酬より節税額の方が大きいケースは多いです。

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