備品をすぐ全額経費計上できる基準と注意点

多くの経営者の方も漠然とご存知と思いますが、パソコン等の備品は、金額によって、すぐに経費計上できるものとできないもの(資産計上の上、数年にわたって「減価償却費」として経費にしていくもの)があります。

備品購入時に、すぐに全額を経費計上できるかどうかの考え方を知っておけば、次回の法人税等納付時の資金繰りが少し楽になるでしょう。

この記事では、備品をすぐに経費計上できるかどうかの考え方について説明します。

ただし、すぐに全額を経費計上せず、一旦資産計上した方が良いケースもありますので、そのようなケースについてもお伝えします。

なお、実務上、「支払額をすぐに経費にできる/できない」がよく議論に上がるものとして、備品の他に前払費用(前払家賃等)が挙げられます。こちらについては別記事で取り扱う予定です。

The following two tabs change content below.
桐敷匠

桐敷匠

公認会計士試験に一発合格。企業の税務・会計全般だけでなく、スタートアップ支援、上場支援に至るまで、企業の財務に関するあらゆるノウハウに精通し、顧客からの信頼を集めている。前職はIT技術者であり、応用情報技術者資格も保有。その経験を活かし、端的に本質をつかんだ分かりやすい解説に定評がある。

1. 備品をすぐに全額経費計上できるかどうかの基準

備品1つ当たりの金額が以下の表の基準を満たせば、すぐに全額を経費計上する事ができます。
青色申告者は会計帳簿の作成・申告が必要とされる分、白色申告者よりも優遇されています。

個人 中小企業 大企業
(資本金1億円超等)
白色申告者 10万円未満 10万円未満 10万円未満
青色申告者 30万円未満(※) 30万円未満(※) 10万円未満

※10万円超30万円未満の固定資産が年間で総額300万円を超える場合、超える分の資産はすぐに経費計上できず、資産計上が必要

2. 一旦資産計上した方が良いケース

ただし、すぐに全額経費計上せず、一旦資産計上した方が良いケースがあります。
それは、備品等に対して固定資産税がかかるかかからないかのギリギリのラインにある場合です。
詳しくは税理士に相談する必要がありますが、資産計上した方が良い典型的なケースは、以下の3つの条件に全て当てはまる場合です。

(1)青色申告者である。
(2)購入金額10万円以上20万円未満の償却資産(内装、機械、工具、備品等)がある。
(3)これまで購入した、10万円以上の償却資産の総額が150万円~数百万円程度である

この条件を満たす場合、備品をそのまますべて経費計上すると、固定資産税の課税対象となり、損をする可能性があります。
例えば、システム開発事業で、15万円のPCを20台購入し、他に同様の備品がない場合などです。

まとめ

本記事ではすぐに経費計上できる備品の金額基準についてご説明しました。

もしも購入をお考えの備品がこの記事でご紹介した金額基準に近いようであれば、税金対策を意識して、基準額未満(30万円または10万円)のものを購入するのもよいでしょう。
ただし、固定資産税との兼ね合いで、経費処理せずに資産計上した方が有利な場合もありますので、税理士に確認することをおすすめします。

節税・税金の人気記事
データ取得中
TOPに戻る