役員報酬の決め方は?税負担を減らすための目安を伝えます

経営者は自分の給料(役員報酬)の金額を自由に決めることができます。
しかし自由と言っても、役員報酬を出しすぎると税負担で損するのではないか等、漠然とした不安をお持ちなのではないでしょうか。

そこで、この記事では、役員報酬を決める際に考慮すべきポイントを2つお伝えします。

また、役員報酬を決める際には手続き上の注意点があり、規定を守らないと損金にならないリスクがあります。
この記事では、それらの注意点も併せてご説明します。

The following two tabs change content below.
桐敷匠

桐敷匠

公認会計士試験に一発合格。企業の税務・会計全般だけでなく、スタートアップ支援、上場支援に至るまで、企業の財務に関するあらゆるノウハウに精通し、顧客からの信頼を集めている。前職はIT技術者であり、応用情報技術者資格も保有。その経験を活かし、端的に本質をつかんだ分かりやすい解説に定評がある。

1.役員報酬を決める際に考慮すべきポイント

役員報酬を決める際に考慮すべきポイントは以下の2つです。
・税負担額のシミュレーションをする
・会社の資金繰りに支障をきたさないようにする

以下ではそれぞれについて詳しく解説していきます。

1.1. 税負担額のシミュレーションをする

役員報酬を決める際は、税負担額のシミュレーションする事をお勧めします。
これは、役員報酬の金額によって、会社・個人合わせた全体の税負担額が変わるためです。
役員報酬を決める際は、全体の税額が低くなる水準に設定する事がお勧めです。

一般的に、会社の利益が低いうちは利益を会社に残さず、役員報酬として支給した方が節税になります。
逆に、大きな利益が上がるようになった場合は役員報酬を抑えて、残りは会社に残す方が節税になります。

これはなぜかというと、会社の支払う法人税は税率がほぼ一定であるのに対して、個人の支払う所得税は累進課税と言って、所得の大きくなるほど高税率になるためです。

1.1.1. 具体例 年間利益5,000万円、社長個人の所得控除額200万円のケース

このケースでは役員報酬は1300万円以下とするのがお勧めです。
なぜなら、このケースにおいてはおよそ1300万円までは法人税率と所得税率がほぼ一緒ですが、1300万円を超えると、所得税率が跳ね上がるからです。

役員報酬
/法人所得
1,000万円
/4,000万円
1,300万円
/3,700万円
1,800万円
/3,200万円
個人の税金
(所得税+住民税)
178万円 275万円 490万円
会社の税金
(法人税等)
1,000万円 925万円 800万円
合計税額 1,178万円 1,200万円 1,290万円

1.2. 資金繰りに支障をきたさないようにする

役員報酬は会社にとってはキャッシュ・アウトですので、あまりに高額に設定すると、会社の資金繰りに悪影響の及ぶ恐れがあります。
特に固定費の大きい業種や、入金よりも買掛金の支払いの方がかなり早く来る業種等では手許資金の枯渇することのないように、役員報酬は余裕をもった水準としましょう。

2.役員報酬を決める際の手続き上の注意点

役員報酬を変更する場合、変更タイミングに規制があり、原則として期首から3か月以内の変更のみ認められます。
これは、役員報酬の恣意的な変更による、過度な節税を防止するための規定です。
別のタイミングで変更した場合、役員報酬が損金不算入となり、法人税の負担が重くなります。

なお、業績悪化した場合にやむを得ず減額する場合には損金不算入にはなりませんので、この点は心配する必要はありません。

まとめ

この記事では役員報酬の金額の決め方をご説明しました。

記事で記載した具体例はあくまで一例であり、利益水準、今後の事業見通し、経営者個人の家族構成等により税負担額や、適正な役員報酬の水準は変わってきます。
一度、税理士にシミュレーションを依頼することをお勧めします。

節税・税金の人気記事
データ取得中
TOPに戻る